青本の入手方法、使用方法

「工業所有権法 逐条解説」(通称「青本」)は、弁理士試験の勉強には必須という位置づけになっています。

はたして、皆さんどのように入手し、活用されているのでしょうか。


青本を入手するには、製本版を買う方法と、特許庁のホームページからPDFをダウンロードする方法があります。

青本は2,000ページを超えるボリュームなので、製本版は重くて高い(8000円超)です。
PDFだと無料だし、データ容量が大きいとはいえ、今どきのネットワーク事情ならダウンロードに特段の困難はないでしょう。

ということで、PDFで入手するのが楽です。


しかし、使い勝手の面では、正直PDFはイマイチです。

情報検索もしづらいし、縦書きレイアウトは多くのPDFビューワーソフトと相性が悪いです。
左から右へ、あるいは上から下へとページを進めるビューワーが多く、右から左へ読む縦書きPDFは読みづらいです。

また、PDFだと書き込みもしにくいです。

私はダウンロードしたPDFをiPadに入れて使うつもりでしたが、上記のもろもろの理由で断念しました。


一般的には、製本版を購入し、裁断して法域ごとに分割して持ち運ぶのが推奨されているようです。
たぶん、これが一番使い勝手がよいと思います。


私はというと、製本版を買うお金をケチって、PDFをプリントアウトして使いました。

前書きや目次などを除いた本文ページのみを、A4用紙1枚に4ページ割り付けて、両面印刷で印刷します。
割り付け印刷にしても200枚以上になるので、職場のプリンターを占拠するのが気が引けて、何日かに分けて作業しました。

2017年3月に20版がリリースされた直後から、「数10枚印刷して読む」→「読み終わったら次の数10枚」を繰り返して、2か月くらいかけて全ページ制覇しました。


# ちなみに、青本は通しで読む必要は別にありません。
 私は、2017年は口述のみ受験予定だったので、春には時間に余裕があり、一応全ページに目を通しました。



PDFから印刷するのは、青本を買うお金は節約できますが、印刷したりファイリングしたりと結構時間がかかりました。
時間を節約したい人は、さっさと製本版を買ってしまった方がいいかも、とも思います。
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基礎を固める勉強法

知財とは関係ない話ですが、先日知り合いから、中学生の子供の勉強について悩んでいると相談を受けました。


「子供が学校の数学についていけなくなってきて、塾にも通わせてるけど塾の進度も早くてついていけないんだよね。」

ふむふむ。それは大変だねー。
塾が合ってないんじゃないかな?

「何とかしたいと思ってるんだけど、どんな参考書を買えばいいと思う?」

えーーー!!
現時点ですでにキャパオーバーなのに、新たな参考書に手を出してどうする!!


以下、まじめにアドバイスしました。

・塾は即刻やめなさい。時間とお金の無駄。

・まずは「学校の授業についていく」を目標に、学校の予習と復習に専念し、その他の教材には一切手を出さないこと。
 予習、復習のサポートとして個人指導塾に行かせるか家庭教師を付けてもよいが、とにかく使うのは学校の教材のみ!

私は、上記のやり方でいいと確信しているのですが、その方は半信半疑のようでした。

つまり、「今まで理解できていないのは学校の教科書や塾のテキストが難しすぎるからであって、もっとわかりやすい参考書を買えばわかるようになる」と、本気で思っているらしいのです。


私の考えですが、
基礎を理解するもっともよい方法は、「基本の1冊を繰り返し」です。
自分のペースで、わかるまでじっくりやること。

で、基本を理解したら、あとはひたすら問題を解いて、解き方を体に覚え込ませる。
体が解法パターンを覚えるにつれて、頭は問いの本質(考え方)を理解するようになります。


これって、弁理士試験の勉強もまったく同じですね。

予備校のテキスト以外には手を出さないこと。

基本講義でしっかり基礎を押さえたら、そのあとはひたすら過去問や答練。
問題を解いているうちに、法的な思考パターン(=リーガルマインド)がだんだん身についてくる、という感じです。

基礎を押さえていないのに過去問ばかりやっても、リーガルマインドは身につかないです。
また、判例やらあれこれ手を出すと、失敗するパターンが多いようです。


知財とは関係のない知人からの相談を通じて、
学生時代の勉強も資格試験の勉強も同じだなと改めて認識しました。

H29口述試験 再現 (商標②)

H29口述試験 再現(商標①)」の続きです。

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主査:では、パネルを開いてください。
   あなたは弁理士です。あなたが代理したクライアントの商標登録出願に対し、商標法8条2項および8条4項の拒絶理由通知がきました。さらに8条5項の拒絶理由通知がきました。
   あなたは何を検討し、どう対策しますか?


私:(8条2項っていうと同日出願?同日出願で拒絶されたってこと??いや、もし条文番号勘違いしてたら、あさっての方向で検討することになるから、念のため、最初に条文で拒絶理由を確認しておこう)条文を参照してよろしいでしょうか?

主査:はいどうぞ。

私:(条文見る。やっぱり理解はあってる。条文閉じる。)えー、商品や役務の減縮を検討します・・・?

副査:それはどういう意図ですか?

私:えっと、出願内容に複数の商品役務が含まれている場合、自己が使用しないものまで含んでいる可能性があるので、もし拒絶に係る商品役務がその部分だったら、減縮することで拒絶理由が解消するか、と・・・

副査:でも、クライアントは権利を取りたくて出願してるんですよね?

私:はい、そうです。では、えっと・・・まだ使用を開始していないなら他の商標への変更を??いや、違いますね、クライアントは出願している商標で権利を取りたいんですよね、えっと、ですから・・・(かなり混乱。このあたりで1回目のチャイム)


主査:8条2項の拒絶理由が来たら、どうしないといけないですか?

私:相手方と協議して、協議の結果を特許庁長官に届け出ます。

主査:そうですよね。協議するということは、相手がいるのですよね?つまりどうしますか?

私:(協議するためにどうするかってこと?一体何を答えさせたいの??)相手について調べます・・・?

主査:何のためにですか?

私:(こっちが聞きたいよ!)・・・協議ができそうな相手かどうかを検討するためです。

主査:協議ができそうな相手とは?

私:えっと・・・(やばい、詰んでる。何も出てこない。)同業者かどうか、とか・・・

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ここで2回目のチャイム。
主査と副査は顔を見合わせてだいぶ困っている様子でした。
もしかして、私の受験番号から「後がない受験生」だと認識して、落とすのをためらったのでしょうか。

しかし、これ以上やっても無駄と判断したらしく、主査が「これで商標法を終わります。」と終了させました。

私としては、商標はぐだぐだで終わってしまったものの、特許と意匠ができたからいいや、と明るい気持ちでした。

最後の科目ができない分には心に余裕があるのでいいですね。(もしこのダメっぷりを特許とか意匠でやってたら、と思うと、ぞっとします。)

H29口述試験 再現 (商標①)

平成29年に私が受験した口述試験の内容を再現します。
口述試験に向けて勉強中の方の参考になれば幸いです。


商標法の試験官は、主査:50代男性、副査:40代女性でした。(年代は私の予想です)

以下、「試験官の発言を青」で、「私の発言を黒」で、「私の心の声を赤」で記します。

ちなみに、商標は完全に落としました。質問の意図が全然汲み取れず、時間切れになりました。
長くなるので、2回に分けます。

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主査:商標登録出願は、何のために、どこに手続しますか?

私:(え?国際じゃなくて普通の出願だよね?何を聞きたいんだろう??)はい、商標登録を受けるために、特許庁長官に行います。

主査:では、願書に記載すべき事項を3つ答えてください。

私:まず、出願人の氏名または名称、および住所又は居所を記載します。
  それから、商標登録を受けようとする商標を記載します。
  そして、指定商品又は役務を記入します。(あ、記載だった。まあいいや)

主査:願書の記載が適切な場合、特許庁長官は何かを認定するのですが、それは何ですか?

私:(ん?なんか簡単だけど、いいのかな?)はい、出願日を認定します。

主査:出願日が認定されると、どのような効果が発生しますか?

私:出願日認定による効果、ですか・・・!?えー・・・??・・・・補償金請求権が発生します。

副査:商標法には補償金請求権はないですよ?

私:失礼しました。(あれ、金銭請求権?金銭的だっけ??やばい、この言葉口から出したことないかも。記憶があいまい。間違うよりは条文見よう・・・)条文を参照してよろしいでしょうか。

副査:はい、どうぞ(やや呆れ顔?)

私:(条文見る。どこにあるかわからず結構探す。閉じる。)商標登録前の金銭的請求権です。

主査:そのほかにはどんな効果がありますか?

私:(え・・・効果?効果!??何を聞かれてるんだろう?)出願内容が公開されます。

主査:ほかには?

私:審査に係属します・・・?

主査:もっと基本的なことなのですが。出願後、他人が同じような商標について出願したら?

私:(あ!)はい、他人の後願を排除する効果が発生します。

主査:それは一言でいうと何ですか?

私:先願の地位です。

主査:そうですね。

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→「H29口述試験 再現(商標②)」へ続く

H29口述試験 再現 (意匠)

平成29年に私が受験した口述試験の内容を再現します。
口述試験に向けて勉強中の方の参考になれば幸いです。


意匠法の試験官は、主査:40代男性、副査:50代女性でした。(年代は私の予想です)

以下、「試験官の発言を青」で、「私の発言を黒」で、「私の心の声を赤」で記します。

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主査:あなたは弁理士です。これから、クライアント(=副査)が弁理士であるあなたのところに相談に来たということで、クライアントからの質問に答えてください。私(=主査)も進行役として、ときどき口を出させてもらうことがあります。

私:はい、お願いします。(えっ、まさかのロールプレイ!?)


副査:新しい掛け時計を作ったので人にまねされたくないんですが、どうしたらいいですか?

私:(ん?意匠の定義とか言う必要あるかな?でも聞かれてないことをペラペラしゃべるのはダメだし・・・とりあえず端的に言っちゃえ)そうですね、外観をまねされたくない場合は、意匠登録出願をお勧めします。


副査:この掛け時計、先月から販売してるんですが。

私:(クライアントは知財に関して素人って設定でいいのかな?新規性喪失の・・・とか難しい言葉は避けた方が無難??)そうですか、1か月前でしたら、発売を開始していても大丈夫です。


副査:3か月前には、展示会に出展しているんです。

私:3か月前ですね。3か月前でも大丈夫ですよ。本来は新規性が必要ですが、公開してから一定期間内であれば、所定の手続きをすることで意匠登録を受けられます。(受けられます、と言い切ってよかったかな・・・ちょい後悔)


副査:その1か月前に、ショールームに展示してるんです。

私:その1か月前ということは、今から4か月前ですね。(あれ、新喪例の期間って6月だよね?特許の半分の期間で3月なんだっけ・・・?いや、特許の半分なのは優先権期間のはず。新喪例はたぶん6月で合ってる(*H29時点)。えい!)半年以内なら大丈夫ですよ。ショールームに展示したのが、人前に出した一番最初ですか?

副査:はい、それが初めてです。

私:そうですか。それなら、ほかの登録要件を満たせば意匠登録を受けられます。


主査による補足:では、これからは「公知」というキーワードで進めたいと思います。

私:はい。(あ、「公知」は言うべきだったか。クライアント相手だからなるべく法律用語を使わない方がいいのか、試験の観点では法律用語を使った方がいいのか、悩ましいな・・・)


副査:ショールームへの展示でも「公知」になるのですか?

私:はい、秘密保持義務を負わない人が見ることになれば、公知となります。

(ここで、主査と副査が顔を見合わせてうなずく。)

私:(秘密保持義務がキーワードだったみたい、よかった。)



主査による状況説明:あなたは、新規性喪失の例外の適用を受けたうえで、クライアントの意匠を出願しました。その後、またクライアントがあなたを訪ねてきました。

副査:私の意匠登録出願の1か月前に、ほかの人が同じような時計を販売していました。私の意匠登録出願への影響はないですよね?

私:残念ですが、その人が独自にその時計を開発していた場合には、その時計があることを理由に意匠登録が受けられなくなります。

副査:私の方が先に売ってたのに、あとから販売した人のもので私の出願が拒絶されるっておかしくないですか?

私:そうですね、意匠制度は、新たな意匠を保護するというものなので、販売して人目に触れてしまうと「新たな」ものではなくなってしまいます。ですから、原則として、販売したり展示したりする前に意匠登録出願を済ませる必要があります。

主査:はい、ありがとうございます。以上で意匠法を・・・
(ここで副査が主査にこそこそ話しかけ、二人の間で紙を見ながら「これって聞いた?」「大丈夫」みたいなやりとりがなされる)

主査:以上で意匠法を終わります。


------

この後は、チャイムが鳴るまで雑談。
どんな仕事をしているのか?なぜ弁理士試験を受けようと思ったか?受かったら何をしたいか?など聞かれました。

特許法の雑談とは違う質問だったので、かぶらないように試験官同士で事前に打ち合わせてるのでしょうか?


それにしても、突然のロールプレイに内心動揺して、新喪例の期間すらド忘れするというダメっぷり。
口述試験では、雰囲気にのまれてわかっているはずのことが答えられない、と言われますが、そのとおりでした。
クライアント役の副査が笑顔がなくてちょっと怖かったのもあって・・・(笑)
プロフィール

izumi

Author:izumi
地方の企業知財部で働く新米弁理士です。
2017年に弁理士試験合格、2018年に弁理士登録。
弁理士試験のことや、知財ネタを書いていきたいと思います。

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