明細書作成は家づくりに似ている
私の会社では、知財部員が明細書を書くことはありません。
特許事務所に明細書作成を依頼しています。
知財部員として、私は納品された明細書をチェックするわけですが、ほぼそのまま出願できる場合もあれば、全書き直しというくらいに真っ赤に修正を入れることもあります。
レベルの低い明細書は、設計図がない状態で家を建てたようなもので、全体的にちぐはぐです。
致命的な欠陥を修正しようとすると、それが他の部分にもずるずると影響して、全部直さないといけなくなるのです。
家づくりでいうと、ゆがんだ柱を正そうとしたら、他の柱も、壁も、すべてやり直さないといけない感じです。
レベルの高い明細書は、土台がしっかりしているので、修正が生じたとしても他への影響が少ないです。
たとえば、「この用語は別の語に置き換えてほしい」、「この用語の定義をもう少し詳しく入れてほしい」、「係り受けがわかりづらいので簡潔にしてほしい」といった程度で、単純にその用語を置換したり、1文だけ追加や修正すればOKとなります。
家づくりでいうと、「トイレに棚を追加で設置して」とか「お風呂のドアは押し扉じゃなくて引き戸に変更して」という感じで、他に影響しないのです。
明細書の質の差は、弁理士の「構成力」によるところは大きいのですが、それだけではありません。
発明者(あるいは知財部)から、「どんな権利を取りたいか」のインプットがなされないと、力のある弁理士が書いた明細書でもイマイチになります。
家づくりでいうと、「トイレの壁はピンクがいい。2回の寝室には出窓が欲しい。キッチンは大理石で。リビングスルー階段がいい。」と伝えただけの場合、建築士はさぞ困ることと思います。
家の大きさ、デザインイメージ、家族構成やライフスタイル、といった基本情報があって初めて設計方針が決まります。
壁だの出窓だのは、設計図を作る上では重要度が低いのです。
明細書作成も同じで、どんな権利が欲しいのかを特許事務所にインプットしないと、いい明細書になりません。
権利の広さはどの程度か、外せないポイントはどこなのか、自社事業におけるその権利の位置づけや競合他社との関係は、といった内容が必要でしょう。
そのうえで、具体的に製品の構造や動作を説明すべきなのです。
・・・なので、質の低い明細書が納品されて来たら、執筆者のレベルにあきれたり腹を立てたりするのではなく、「インプットがまずかったのかなぁ」ということを、日々考えています。
特許事務所に明細書作成を依頼しています。
知財部員として、私は納品された明細書をチェックするわけですが、ほぼそのまま出願できる場合もあれば、全書き直しというくらいに真っ赤に修正を入れることもあります。
レベルの低い明細書は、設計図がない状態で家を建てたようなもので、全体的にちぐはぐです。
致命的な欠陥を修正しようとすると、それが他の部分にもずるずると影響して、全部直さないといけなくなるのです。
家づくりでいうと、ゆがんだ柱を正そうとしたら、他の柱も、壁も、すべてやり直さないといけない感じです。
レベルの高い明細書は、土台がしっかりしているので、修正が生じたとしても他への影響が少ないです。
たとえば、「この用語は別の語に置き換えてほしい」、「この用語の定義をもう少し詳しく入れてほしい」、「係り受けがわかりづらいので簡潔にしてほしい」といった程度で、単純にその用語を置換したり、1文だけ追加や修正すればOKとなります。
家づくりでいうと、「トイレに棚を追加で設置して」とか「お風呂のドアは押し扉じゃなくて引き戸に変更して」という感じで、他に影響しないのです。
明細書の質の差は、弁理士の「構成力」によるところは大きいのですが、それだけではありません。
発明者(あるいは知財部)から、「どんな権利を取りたいか」のインプットがなされないと、力のある弁理士が書いた明細書でもイマイチになります。
家づくりでいうと、「トイレの壁はピンクがいい。2回の寝室には出窓が欲しい。キッチンは大理石で。リビングスルー階段がいい。」と伝えただけの場合、建築士はさぞ困ることと思います。
家の大きさ、デザインイメージ、家族構成やライフスタイル、といった基本情報があって初めて設計方針が決まります。
壁だの出窓だのは、設計図を作る上では重要度が低いのです。
明細書作成も同じで、どんな権利が欲しいのかを特許事務所にインプットしないと、いい明細書になりません。
権利の広さはどの程度か、外せないポイントはどこなのか、自社事業におけるその権利の位置づけや競合他社との関係は、といった内容が必要でしょう。
そのうえで、具体的に製品の構造や動作を説明すべきなのです。
・・・なので、質の低い明細書が納品されて来たら、執筆者のレベルにあきれたり腹を立てたりするのではなく、「インプットがまずかったのかなぁ」ということを、日々考えています。
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